第7回 稲畑産業株式会社

おはようございます。会社紹介の第7回目です。

目次

キーワード

累進配当 PBR1倍超え目標 住友化学の稲畑産業株売却 

どんな会社?

8098 稲畑産業  東証プライム  卸売業

創業130年。合成樹脂、情報電子、化学品、生活産業品の卸売商社。

海外事業の割合は約64%で、19カ国に60拠点を持つ。

2024年1月5日、筆頭株主の住友化学が保有している稲畑産産業株の約6割売却を発表。売却完了は2月下旬をめど。

1918年6月設立 1961年10月上場 決算3月

4,316人 (2023/03現在)

会社HP
https://www.inabata.co.jp

株情報・分析 (2024/01/05終値)

株価 3,255円

PBR 0.92倍 やや割安

ROE 10.99% 効率良 

自己資本比率 47.2% 良

配当利回り 3.69% 高配当

時価総額 1,820億円

PER 8.6倍 割安

MIX係数 7.912 割安

過去10年の業績

BPS
(1株あたりの純資産)

引用:マネックス証券

2009(リーマンショック)、2020(コロナ)に落ち込みがありますが、全体的に順調に伸びています。

ROE
(稼ぐ効率)

引用:マネックス証券

2018年に一時4パーセント台に落ちています。

それ以外2011年以降はほぼ7%~12%で推移しています。

近年、10%をキープしているのはPBR1倍超えを目標にしているからかもしれません(後述)。

純有利子負債

引用:マネックス証券

純有利子負債とは、有利子負債残高から現預金を差し引いたものです。

純有利子負債は増減はありますが過去10年で見ると減少傾向にあります。

自己資本は2020年に落ち込んだものの10年で見ると増加傾向にあって、財務は健全と思われます。

特色

売上構成比

引用:マネックス証券

合成樹脂が売上の約50%、情報電子が売上の約30%を占めています。

合成樹脂は主にOA機器、家電製品、自動車部品向けのものを、

情報電子は液晶、有機EL向けのものを主に扱っています。

事業別利益

引用:マネックス証券

売上構成比とほぼ同じ推移となっています。

海外売上高構成

引用:マネックス証券

国内が約36%、東南アジアが約27%、中国が約18%となっています。

決算説明資料ではマイナス面に中国の需要減、プラス面に円安の好影響について触れられていました。


https://www.inabata.co.jp/themes/inabata/investor/library/file/231201kessan_tan_shiryou.pdf
(2024年3月期 第2四半期 決算説明会資料)

チャート

20年週足チャート

引用:TradingView

リーマンショック期を抜けて2012年以降は右肩上がりです。

1年日足チャート

引用:TradingView

200MAまで下げた後、反発上昇しています。直近もみ合いの価格帯をしっかりと上抜けしています。

配当金

配当金の推移

引用:マネックス証券

2023/03 1株配当 105.00円 配当性向 33.5% 妥当

過去に減配はありません。

配当方針は「減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本」(累進配当)としています。

https://www.inabata.co.jp/investor/stock/dividend/

決算説明資料だけでなく会社HPにも配当金についてのページを設けてあり、

稲畑産業が配当金を重視していることがわかります。

株主優待

100株以上の保有で500円分のQUOカードがもらえます。

保有期間6カ月以上、または3年以上で、保有株数(100/200/300以上)に応じてQUOカードの金額が上がります。

https://www.inabata.co.jp/investor/stock/benefit/

Pick UP

PBR1倍超え目標

2023年3月期通期決算説明資料で、

  • 事業価値の向上
  • ROE10%の維持
  • 資本コストの抑制
  • 自己株式の取得継続

をもってなるべく早期に、PBR1倍を常態的に超える株価水準を達成する

と発表しています(簡単に言うとPBRが1倍になるまで努力して株価を上げると言う事です)。

企業によってはPBR1倍超えには簡単にしか触れない、あるいは取り上げない所がある中、

説明資料の2ページを使ってPBR1倍超え目標を公表しており、会社の強い意志を感じます。
https://www.inabata.co.jp/themes/inabata/investor/library/file/230605kessan_tan_shiryou.pdf

政策保有株式の売却推進

政策保有株とは取引先との関係維持のために保有している株です。

上のようなメリットの一方、資本が効率よく使われないデメリットにもなります。

稲畑産業は政策保有株の売却を進めており、売却で得られた資金については、

基本的に内部留保ではなく、株主還元と成長投資に充てる、としています。

住友化学の株式売却(2024/01/05)

今回、稲畑産業の分析をあげたきっかけです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0581S0V00C24A1000000/

大量の売りで稲畑産業の株価が下がると思われ、実際夜間取引(PTS)では145円ほど下げています。

ですが稲畑産業が出した悪材料ではないので、株価が下がった所は買い場になるかもしれません。

まとめ

今回は化学系の商社、稲畑産業を紹介しました。

配当方針や優待から株主を大切にする会社と印象を受けました。

決算説明会資料ではこれから5Gや半導体にも力を入れていくとの事で、そちらにも期待したいところです。

懸念点として為替が円高に振れた時の海外減益があげられると思います。

これらはあくまで個人的な株の分析です。投資はご自身の判断でお願いします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次